Akatsuki Hackers Lab | 株式会社アカツキ(Akatsuki Inc.)

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こんな時代なので、社内オンリーの100人規模の技術カンファレンスを開催しました

こんにちは、アカツキゲームスのVPoEのゆのん (id:yunon_phys)です。社内エンジニアリングカンファレンスAkatsuki Dev Meetupを9/13に開催したので、その運営側のレポートを書きます。

社内オンリーにしたのは登壇者への配慮

いきなりタイトルの話に入っていくわけですが、今回は社内の人に限定したカンファレンスにしました。せっかくやるなら社外の人も呼べば良いのにという声も上がるだろうなとは思ったのですが*1、あえて公開範囲を狭めました。僕らがこのカンファレンスを何のためにやるのか、でいうと、社内の情報の流通量を上げることが第一目的だったからです。

社内の情報の流通量を上げたいのは、アカツキで抱えている課題がそもそも出発点としてあります。現在アカツキは様々なゲームタイトルを開発・運用していて、そのタイトル内のチームでは密度の濃いディスカッションが出来ています。一方で、タイトル間でこういうのをやっているよ、こういうのがうまくいったよ、これはだめだったよ、といった情報交換については、どうしても日々の業務から比較すると優先度が下がってしまいます。他のチームのSlackのWorkspaceを見えるようにするといった工夫は可能な限りしているものの、それは個人の裁量に依存してしまうところもあり、正直成果は上げられていないという感覚があります。

ただ、他のタイトルでやっていることは隣のチームでも参考になるケースは勿論あります。実際に、メンバーが異動することによって、前のチームからのノウハウが伝承されて、開発が良い方向に向かっていくというケースを何度も見てきました。つまり、社内の情報の流通量を上げることは、プロダクト品質を上げることにつながると考えているわけです。

社内の情報の流通量を上げるためには、情報の発信者側が内容をカジュアルに公開出来ることが何よりも大事だと考えています。この情報は意味あるだろうか、こんなことを話しても良いのだろうか、と思ってしまったら、途端に情報がストップしてしまいます。なので、情報の意味の有無は受信者側が勝手に決めるので、発信者側にその責任を負わなくて良いという場づくりをしてく必要があります。

話を戻して、これが社外に公開するカンファレンスだったらどうでしょうか。「外部公開に足る情報になっているのか」「コンフィデンシャルなところまで踏み込んでいないか」「内輪ネタになっていないか」など、発信者側が気を遣わなければいけないことが増えてしまいます。社外に公開するのはもしかしたらブランディングとして有用かもしれませんが、それは今まさに解決したい課題とはちょっとずれる・・・そんなところから、社内オンリーとしたわけです。

社内オンリーにしたことで、コンフィデンシャルな内容を思う存分話せるようになるし、発表慣れしていない方のハードルも下がるし、多少運営がイマイチでもまあなんとかなる、というのは追加でポジティブなポイントです。余計なところに気を遣わずに、発表そのものに集中出来るのは社内オンリーにして大正解でした。

昨年の良いところを踏襲し、新しい要素をとり入れる

実はこの社内カンファレンスは今回2回目で、昨年も同じコンセプトで実施しました。私はそのとき運営メンバーとして関わっていなかったのですが、今回急遽私が指揮を取ることになり、昨年の良かったポイントと改善ポイントをどう今年に活かすのか、が焦点となりました。

昨年のLP

ロゴをつくる

昨年に引き続き、今年もロゴをゆーじさんにつくってもらいました。昨年は最初のカンファレンスということでアカツキロゴの1つ目の色にして右上の黄緑色にしたのですが、今年は2回目なのでその次の色の黄色をテーマカラーにしたロゴにしました。

発表者用にこの色をテーマカラーとして、スライドテンプレートも作成して配布しました。また、テンプレートを使用したZoom背景も用意し、司会者や参加者に設定してもらうことにより、全体的な一体感も醸成できました。

オープニング動画を入れる

昨年の良かったポイントはオープニング動画を入れたことでした。某TV番組のように、プロフェッショナルなエンジニアたちがどんな思いで業務をしているのかを熱く語る動画で、これで一気に会のテンションが上がったのを覚えていました。これは今年も絶対取り入れたいと思い、社内広報チームとも連携してオープニング動画を作りました。今年が昨年と違うポイントは、アカツキゲームス代表の戸塚や、デザイン組織代表の柴田から、外から見たエンジニア組織の印象についても話してもらったことです。この動画のクオリティがとにかく高く、実際に当日流したときのみんなの反応がとても良かったです。

LPをNotionでつくる

さらに昨年の良かったポイントとして、ランディングページ(LP)を作ってカンファレンス感を感じてもらいやすかったところでした。今年もこれをやろうと思ったのですが、サイトを1から構築してデプロイして・・・というのを毎回やるのは正直面倒だなと感じたので、Notionで作ることにしました。Notionであれば気軽に作れるし、ドメイン制限も出来る、何より来年も簡単に引き継げるということで、NotionでLPを作ることにしました。ついでに運営の議事録も全てそのツリー下に配置して、次に運営する人が情報を辿りやすいようにしました。Notionにしたのは完全に大正解で、結局当日ギリギリまでタイムラインを更新したり、アナウンスメントを更新していたので、気軽に更新出来るのには本当に助けられました。

Keynoteを設置する

昨年は最初から社員のセッションからスタートしたのですが、今年はよりカンファレンス感を出そうと、Keynoteを最初に設置しました。今回はアカツキの技術顧問でもある小崎資広さんに依頼をしたところ、快く引き受けてくださいました。当日はLinuxカーネルメンテナのMeetupでどんなことが話されたのか、エンジニアとしてのキャリアパスについてなど、非常に濃い話をしていただきました。

実は当日の朝、小崎さんのZoomアカウントが無いということが判明したのですが、情シスに問い合わせたところすぐにアカウントを発行してもらえて、なんとか事無きを得ました。事前準備の大事さを再認識したのと、アカツキの情シスの対応の素晴らしさに感動しました。

ハイブリッドレーンを設ける

前回は全てオンラインでの開催だったのですが、今年はお祭り感をより出したかったこともあり、オフラインでの参加も出来るようにしました。オフラインで参加してもらって、同じ空間を共有し、同じご飯を食べることで一体感を出したかったというのがあります。

ただハイブリッドでセッションを行おうとすると、音響設備やカメラなど機材が必要になり、これは自分たちでは手に負えないと社内の文化づくりチームにも協力してもらうことにしました。そのチームは週次報告をハイブリッド型で運営していることもあり、ノウハウが溜まっていました。実際に機材トラブルは全くなく、滞りなく当日は進行できました。

当日の運営の様子

オフラインで交流出来るようにする

オフラインで来た人同士で交流が促進されるといいなと思い、オフライン参加者向けにお弁当の手配をしたり、夜はかつての勉強会感を出したくてピザとお寿司を注文しました。オフラインで参加したみんな、結構遅くまで交流していて、これはやって良かったです。

ちなみにオンライン参加者もご飯を経費で食べられるようにしました。自宅に届けられるサービスの利用も考えましたが、金額的にもそれぞれ好きなものを食べてもらった方が良いと思い、全て経費精算出来るように経理とも交渉して自由にご飯を食べられるようにしました。*2

アカツキゲームス正社員オンリーレーンを設ける

今回アカツキに所属している人であれば誰でも参加出来るカンファレンスではあったものの、情報の取り扱い上、どうしてもアカツキゲームスの正社員に公開を限定しなければならない情報も混じっていました。実は昨年開催した時に、「情報管理について改善が必要だ」という話にもなっていました。今回はレーン1をハイブリッドセッション、レーン2をオンラインセッション、レーン3をアカツキゲームス正社員オンリーのオンラインセッションとして、レーン3のみ限定公開のカレンダーにしてZoomのURLをそのカレンダーのみに貼るようにしました。スライド資料や当日動画も公開範囲を限定するように権限設定を見直しました。

カンファレンスの効果

定性的ではありますが、本記事執筆時点で37人のアンケートを収集出来ていて、100%満足だという結果が出ています。「私のようにプレゼンに苦手意識のある人でも気軽に参加できる場として素晴らしい」「社内向けカンファレンスだからこそ、事例の詳細度が高くて良かった」「他プロジェクトの話を聞く機会がないので非常に面白く聞くことができた」「発表者の方々の取り組み等について、どういう思いや考えがあるのか知れたのがよかった」と社内オンリーにしたことの想定通りの反応が返ってきたのはうれしかったです。

また、発表者より、「思考を整理する良い機会になった」という言葉をもらえたのは、とてもうれしい感想でした。私自身もこれまでブログを書いたり、外部登壇してきましたが、同じ感想を持っています。情報の発信者が一番学習の機会を持てるので、発信者側に回らないのは損だなと思います。情報の流通量を上げるには情報の発信者側を増やすことが大事で、こういった発信者側のメリットを伝え続けることが大事だなと再認識しました。

他にも、「久々の発表でとっても緊張した」「資料作りの段階からなかなかスムーズに進められず苦労した」「去年よりは発表慣れたかなあ」といった声も発表者から上がっていて、社内カンファレンスだからいっぱい失敗出来る場として提供出来て良かったなーと思います。

次回に向けて

既に運営チーム内でふりかえりはしていて、改善点はいろいろ見えています。アンケートからもここは良かった、次はこうした方が良い、という意見をもらえているので、更にパワーアップした会になりそうです。

社内カンファレンスを検討している会社さんの参考になれば幸いです!

*1:事実、終わった後に社内からそういう声が上がった。それはそれで嬉しいコメント

*2:経費精算の決済が全部自分のところに来るので右手が死ぬかもしれない