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新卒エンジニアが国際学会に行ってきたレポート

17新卒エンジニアの森下です。

先日、人工知能系の国際学会に参加してきたので、そのレポートを書きます。

今回参加したのは次の学会です。

14th International Conference on Distributed Computing and Artificial Intelligence (DCAI'17)

投稿したのは自分の大学院の修論の内容なのですが、上司に聞いてみたところ快諾をいただき、参加することとなりました。

学会の様子

今回の学会はポルトガルポルトにあるPolytechnic Institute of Portoという学校で開催されました。

さらに、4学会が同じ会場で開催されており、多くの方が参加していました。

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ちなみに、ポルト魔女の宅急便のモデルとなった街らしく、雰囲気がとても良い街でした。

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セッションメモ

ここからはセッションについてのメモです。 中でも業務に活かせそうだと思ったものを共有します。

全てのセッションの論文は次の出版社から公開されているため、手法や結果などあまり細かく書けないのが残念です。

www.springer.com

*全文を読むには購入が必要です。

Semantic Profiling and Destination Recommendation based on Crowd-sourced Tourist Reviews - Fátima Leal, Horacio González-Vélez, Benedita Malheiro and Juan Carlos Burguillo

概要

  • 最近、旅行者や観光客は観光関連のレビューにインスピレーションを受け、旅行の予定を立てることが多い
  • このようなレビューは膨大な量のソースがあり、これを利用する旅行者の体験を更に豊かにするために新たなアプローチが必要である
  • この研究では、レビューをセマンティックコンテンツベースのフィルタによって、旅行者の目的地を自動的にリコメンドする手法について提案する

手法

  • 個々のユーザーが選んだレビューに含まれる単語とホテルのデータに含まれる単語の類似度をLDAによって計算する
  • 類似度を元にランク付けし、レコメンドリストとして出力する
  • データはExpediaのレビューを使用

結論

  • レビューの単語の類似度に基づいたレコメンドによって、目的地をユーザーに提案できた(F-measure 78%)

Quality Assessment of Implementation of Strategy Design Pattern - Rafał Wojszczyk

概要

  • ソフトウェア・エンジニアリングにおいて、デザインパターンを使用することはソフトウェアの品質を保証する目的で優れている
  • この研究の目的は、デザインパターンを用いて実装した場合の利点についての例を示すことである

手法

結論

  • ソフトウェア開発のコスト削減をサポートするソリューションを提案した
  • デザインパターンを導入したことによる利点を提示した
  • デザインパターンの実装に関する品質評価モデルについて議論した

The effectiveness of data mining techniques in the detection of DDoS attacks - Daniel Czyczyn-Egird and Rafał Wojszczyk

概要

  • オンラインでの攻撃は正すのが難しく、非常に費用のかかる問題である
  • こういった攻撃を早期に検出するために、ネットワークのデータを分析する様々な手法が存在する
  • この研究では、DDoS攻撃の検出におけるデータマイニング技術の有効性に関する調査結果を示す

手法

  • DDoS攻撃のためのシミュレーションシステム用意し、信頼されたクライアントとそうでないクライアントをシミュレートした。
  • それらのデータをナイーブベイズとk近傍法を使って分類した

結論

  • データマイニング手法を用いた分析では、k近傍法が一番有効性がある結果となった
  • 25%〜36.3%の確率で分類でき、満足のいく結果であった
  • 信頼されたクライアントの7%は間違って分類されていた

Information manipulation and web credibility - Te-Cheng Lu

概要

  • 嘘の情報、ニュース、レビューはこのビッグデータ時代に大きな負担となっている
  • 読み手が嘘を嘘であると見抜けられれば、嘘を書こうとする人も減る可能性がある
  • 嘘の情報拡散を防止するために、情報が真であるとする基準を向上させ、読み手に社会的責任があることを認識させる

手法

  • 書き手は正直者と嘘つきの2種類に分けられる
  • 情報は真実、嘘のような真実、真実のような嘘、嘘に分けられる
  • この4つに有効度をつける
  • 読み手に4つの中から一つを選択させ、その結果により書き手と読み手のスコアがつく
  • スコアが高くなるような戦略をとらせる

結論

  • 読み手が嘘の情報を受け入れないという社会的責任を負わせることで、嘘を書こうとする人に真実の情報を書かかせる戦略を見出した
  • このアプローチはビッグデータ時代におけるウェブの信頼性を向上させる

FOREX trading strategy optimization - Svitlana Galeshchuk

概要

手法

  • 移動平均の勾配の符号をモニタリングする
    • 正から負に変化した時に売りシグナルを出す
    • 負から正に変化した時に買いシグナルを出す
  • 移動平均は低次のものを使用し、取引頻度の最小期間を指定する関数を定義することによりモデル化する
    • 高次の移動平均を利用する場合、取引コストは低くなるが、短期的な収益性の高い取引を逃してしまう

結論

  • 金融市場における取引の意思決定のためのシグナルを遺伝的アルゴリズムにより生成し、検証した
  • 本研究のアプローチは力まかせ探索よりも効率的な高い回収率が示された

感想

国際学会としては今回で3回目の参加となり、緊張もあまりしなくなって非常に楽しめました。 また、初のEUでの学会だったので、いままで参加してきたアジアとはひと味違った雰囲気も良かったです。 大学院を卒業して3ヶ月ほどアカデミックな世界と離れていましたが、改めて面白い世界だと感じました。 将来的に業務と絡めながら論文を出せたらいいですね。 研究室の先生に誘われたときには、すでに入社していたので無理だと諦めていましたが、 新卒が国際学会へ行かせてもらえるアカツキに感謝です。 これからもカンファレンスや学会にガンガン参加していきたいですね!