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新規事業担当者の陥りがちな心理と対策

こんにちは、ライブエクスペリエンス事業部のポリック (id: poric_ries) です。

 
本ブログは、

リーン・スタートアップはもう古い?企業内新規事業でよみがえるLeanな事業立ち上げ

をテーマに、新規事業開発現場の”実践録”をシリーズで配信しています。

 

▼配信済
#0.はじめに 
#1.走り出す前の準備
#2.やってはいけない!新規事業チームの最悪な1週間の過ごし方
#3.新規事業担当者の陥りがちな心理と対策 ← 今回はここ

▼配信予定
#4.新たな企画での再スタート!ダーティー&セクシーな検証
#5.to be determined

 

 

今回は、LEAN&SPRINT実践手法から少し離れ、企業内で新規事業を企画する際に担当者が陥りがちな心理とその対策について書きます。見ようによっては、やや後ろ向きな内容で書くかどうか迷ったのですが、企業内新規事業が盛んな昨今、同じ立場で同じ悩みを抱えている方はいるんじゃないかと思い、思い切って配信することにします。

 

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新規事業担当者が陥りがちな、望ましくない心理とは?

その心理とは「新規サービスを作ること」自体を目的にしてしまうことです。

企画段階に限っていえば「企画を通すこと」を目的化してしまうことです。

 

(ここで記載する内容は”当たり前”の内容ですが、自分が当事者として”わかっちゃいるけど”なかなかに苦しんだことであり、同じ境遇の方に向けて学びと対策を共有します)

 

なぜ、この心理に陥ってしまうのか?

前提として、企業内新規事業は起業とは異なり、会社のリソース(資金、人材等)を投資してもらってはじめて取り組めるものであり、当然ながら企業内ゆえの制約条件があります。

  • 会社のビジョン/ミッションとの整合性
  • 会社の事業ポートフォーリオ
  • 予算、投資回収期間
  • 将来的な事業規模
  • 既存事業との親和性、シナジー
  • 人材育成、ノウハウ蓄積
  • 最終決裁者の思い、好み etc... 

企業内新規事業担当者は、これらの制約条件を前提に、
「自分/チームのやりたいこと、熱意を込められること」と「ユーザーの求めること」の結節点(新規事業の種)を探り、企画を作っていきます。

 

(今書いてみても思うんですが、なかなか難易度が高い)

 

さらに、組織の中で短期的にも成果を出す(少なくとも”やってる感を見せる)必要性に迫られたあげく、

 

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という心理に陥ってしまいます。

 

これに陥ってしまうと・・・

新規サービスを作ること/企画を通すことが目的になると、思考も行動も望ましい状態から離れていきます。

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こんな状態で企画したサービスは成功しませんよね・・・運良く企画が通ったとしても、ユーザーに向き合わなければユーザーの欲しがるものは作れないですし、なによりも自分もチームも成功に向けて100%で走り続けられないからです。

 

(私の場合)チームの貴重な"2週間”をロス!

前回#2で進めていた企画。検証が進むにつれ、私の心では、なかなか”燃えてこない”ヤキモキを感じると同時に、期限内に企画を通さなければならないという焦りがありました。その焦りが次第に強くなるにつれ、知らず知らずのうちに「本当にこれがやりたいサービスなのか?」という問いに対して、この企画を通すためには”「YES」と答えなければいけない”と自分に言い聞かせようとする心理が働いていました。

 

私の場合、幸運にも望ましくない心理に陥りきらなかったのは、チームメンバーの存在でした。

「やりたいことをやってください!!!」

私の心理を知ってか知らずか(おそらく感じ取っていた)メンバーから率直なフィードバックを受け、

「こんなに恵まれている環境で、やりたいことやらなかったら一生後悔する。」

ということを痛感し、結果的に大きく方向転換し、ターゲットをファミリーから独身へ舵を切りました。

 

この方針転換自体は、LEANでいうピボット(仮説検証で積み上げた学びを踏まえての戦略転換)ではなくリセットでした。LEANやSPRINTの実践手法に関する学びは蓄積したものの、最も優先すべき「ユーザーに関する学び」を次に活かすことができないという失態をおかしました。結果、チームの貴重な約2週間という時間を棒に振ってしまいました。

 

ひとえに私が未熟だったというのはもちろんありますが、企業内新規事業を担当する方が陥る可能性のある心理なので、反面教師として参考になれば幸いです。

 

どうすれば、望ましくない心理に打ち勝つことができるか?

私なりの答えは、唯一、自分とチームに対して誠実でいることです。

 

仮に自分とチームをダマしながら企画を進めたとしても、どこかで必ず躓きます。そのとき「やっぱりやめた」「はじめからやりたくなかった」はありえませんし、百歩譲って自分の信頼がガタ落ちするのはいいとしても、この企画に投資した”自分とチームの時間”はどんなに努力しても取り戻せません。

 

この点を強く意識し、「ダメだ」と思ったら率直にチームに打ち明ける勇気をリーダーは持つべきだと思います。それが自分とチームの貴重な時間を投資することに対しての、最低限の責務だと思います。

 

望まない心理に陥っていないかセルフチェック

具体的には、次のような問いを自分自身に定期的に問うことにしています。

  • 自分とチームの貴重な時間を、この事業/サービスに投資してよいのか?
  • あと1年しか生きられなくても、この事業/サービスをやりたいのか?
  • 自分の身銭を切ってでも、この事業/サービスをやりたいのか? etc...

できれば、自分自身とそしてチームと率直に話し合うことをおすすめします。

 

 

心機一転、再スタート

解決すべき最良の問題は、自分が個人的に抱えている問題である by ポール・グレアム

 

私の場合、自分が熱意を持てるテーマは、自分自身が課題の当事者であること(自分がユーザーであること)が重要だと気付きました。世の中にはもちろん、自分自身はユーザーでないにも関わらず、ユーザーに向き合って、手に取るようにユーザーを理解して、素晴らしいサービスを生み出す人もたくさんいるし、そうなりたいとどこかで思っていました。でも、今の自分では無理でした。 

 

これは”良し悪し”の話ではなく、自分自身がリーダーとして責任と裁量を持って意思決定して進めるためには、この「自分が個人的に抱えている問題」の解決を図るしかないと決めました。この詳細は次回以降にお話します。

 

以上、いかがでしたか?

 

余談:「企業内新規事業は上手くいかない」と言われて久しいですが(私は信じていません)、最近読んだ次の記事も参考になりました。弊社も当てはまる部分/当てはまらない部分がありますが、考えさせられた良記事です。

blog.zerotoone.jp

 

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