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勉強会でスピーカーが押さえるべき5つの極意について考えてみた

はじめに

はじめまして。アカツキ2015年度入社の新卒1期生エンジニア、tomoです。私は技術力の底上げと経験のために、社内で毎週OpenGL ES勉強会を開催しています。この記事では、3ヶ月間勉強会を開いてみて感じた、勉強会のスピーカーが大切にしたい5つの極意についてお伝えしたいと思います。考えてみれば当たり前のことなのですが、ついつい忘れがちになってしまうことなので、勉強会を開催したことがある方もそうでない方も参考にしていただければと思います。OpenGL ESに関しては別途記事にするので少々お待ちください。

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スライド

以前、本テーマで発表したスライドを掲載します。5つの極意を簡単にではありますがまとめています。 5つの極意についての詳細や裏話は記事をご覧いただけると幸いです。

勉強会のスピーカーが大切にしたい5つの極意

1. 勉強会の目的、ゴールを決める

勉強会には、必ず目的とゴールがあります。目的とは勉強会で何が理解できるのか、ゴールとは勉強会が終わった後にリスナーはどういう状態になっているか、です。この2つが設定されていないと、リスナーは何が学べるんだろう?と首を傾げながら話を聞くことになってしまいます。それを防止するために、勉強会の冒頭で、目的とゴールをリスナーに提示することが大切です。

2. 独り善がりな勉強会は開いてはダメ

勉強会のリスナーは、学びたいという意志のもと、貴重な時間を割いてその勉強会に参加しています。ですので、スピーカーの使命はリスナーが求める学びを提供することです。スピーカーがアウトプットしたいこと、リスナーがインプットしたいことが一致して初めて良い勉強会と言えます。勉強会を開く前に、参加者のニーズを本気で考えて資料を作成することが大切です。発表中も、その時々で質問タイムを設けると良いと思います。重要なのは、参加者に思いやりを持つことです。

3. 本をただただ解説してはダメ

参考書の内容をもとに開く勉強会も珍しくありません。そういった勉強会で重要なのは、本をただただ解説してはいけないことです。本を読むだけの勉強会でしたら、1人でもできます。勉強会では、本の内容をいかに分かりやすく噛み砕いてリスナーに届けられるかどうかが鍵です。例えば、「本ではxxと書いていますが、これはつまりyyということです。」などと要約したりしましょう。リスナーに「この勉強会分かりやすかったなぁ」と思わせることが重要です。

4. 「次はもっと良い勉強会にする!」ことを心がける

1回限りの勉強会でも輪講でも重要な事は、次はもっと良い勉強会にする、という心構えです。私は勉強会が終わった後、参加者からアンケートを取っています。アンケートでは参加者に、勉強会全体の5段階評価や勉強会の課題点などを記入して頂いています。アンケートを取ることにより、勉強会の反省を行うことができ、勉強会の度にPDCAサイクルを回すことができます。アンケートという形式が良いかどうかはその時々によりますが、大切なのは、勉強会のPDCAサイクルを回すことです。

5. 資料は社内共有する

勉強会は開いて終わり、ではありません。せっかく勉強会を開いたのですから、その内容は参加していない社内の人たちにも共有するべきです。資料を残して、社内にノウハウを蓄積することが重要です。その行為は、勉強会の内容を復習したいリスナーのためにもなります。自分の実績にもなります。公的な内容でしたら、SlideShareSpeakerDeckにアップするのも良いでしょう。

5つの極意の裏話

大それたことを冒頭でつらつらと述べましたが、中には、確かに言ってることは分かるけど、本当にこれで勉強会が良くなるのか?と思っている方もおられるかと思います。ですので、私の3ヶ月の体験談を織り交ぜながら、どのようにしてこの5つの極意に辿り着いたのかを書きます。

3ヶ月前、私は初めて社内で勉強会を開きました。このときの勉強会では正直5つの極意は何一つできていませんでした。目的もゴールも設定せず、本に書いてある内容をそれとなくまとめただけ、アンケートも取らない、社内共有もしない。ただただ独り善がりな勉強会でした。

「文章が多いよね。」

勉強会が終わった後、チームメンバーからもらったフィードバックの1つです。 確かに、そのときの資料は本の内容をスライドに写しただけだったのでそう言われても仕方ありませんでした。この散々な結果を物語っていたのは、2回目の勉強会の参加者数です。初回でしたのでチームメンバーも皆参加してくれていましたが、2回目以降の勉強会では参加者は半分になってしまいました。

これではダメだ、と私は勉強会について本気で考えるようになりました。まず実施したのはアンケートです。勉強会を良くしようにもフィードバックがないとすぐにはアクションが取れません。自分で自分にフィードバックをするという手段もありますが、より効率良く勉強会のPDCAサイクルを回すため、私はアンケートで参加者からフィードバックをもらうことにしました。そのアンケート結果が5つの極意のベースになりました。

  • ほんの少しでも良いので、何か自分なりの工夫が出来るともっと良くなる
  • その日に勉強する内容のざっくりまとめを最初に述べる
  • その勉強会が終わった後に、何がみんなわかっている状態になるかを述べる

上記はアンケート結果から抜粋してきたものです。これらは5つの極意の「勉強会の目的、ゴールを決める」、「本をただただ解説してはダメ」のベースになりました。

また、アンケートでは以下のような意見も寄せられます。

  • 「何々を渡すと、何をする関数」みたいな簡潔な説明があったら説明がもっと分かりやすくなって良いと思った
  • だんだんソースコードを追えなくなってきたので、ライブコーディングは続けて欲しい

上記の意見は、リスナーが求めていること、期待していることです。この意見を勉強会に取り入れることでリスナーの満足度は上がると思います。これは「独り善がりな勉強会は開いてはダメ」のベースになっています。

フィードバックから作ったベースを意識し、引き続き勉強会を実施しました。また、毎週勉強会を開く上で一番に意識したことは、PDCAサイクルを回すことです。5つの極意で言うと「次はもっと良い勉強会にする!」ことを心がけるですね。なので、フィードバックを受けたことは次の勉強会で必ず実践していました。具体的に言うと、勉強会の目的、目標を決めた方が良いというフィードバックの後は、次の勉強会でそれを設定したり、コードが長くなり処理が分かりにくいという指摘があれば、ライブコーディングを導入したりしました。

そして、PDCAを回し続けた結果、勉強会そのもののフィードバックではなく、技術的な部分のフィードバックを得られるようになりました。何より、「次の勉強会も楽しみにしています。」という意見をいただけていることも嬉しいです。

最後に

まとめると、勉強会の5つの極意は以下の通りです。

  1. 勉強会の目的、ゴールを決める
  2. 独り善がりな勉強会は開いてはダメ
  3. 本をただただ解説してはダメ
  4. 「次はもっと良い勉強会にする!」ことを心がける
  5. 資料は社内共有する

ただ、勉強会をやる上で前提として意識しないといけないことは、

「一歩踏み出す勇気を持つこと」

だと思います。この5つの極意についても、勉強会を開いてみなければ気付くことができませんでした。まだ勉強会を開いたことがない方に向けて、まずは分からないなりにも勉強会を開いてみる、その勇気が大切だと思います。