Akatsuki Hackers Lab | 株式会社アカツキ(Akatsuki Inc.)

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【LT会】Akatsuki Geek Live 2020-2021 開催レポート!Vol.2

こんにちは!アカツキ採用担当のこさだです。

2/22(月)に、本年度2回目となる「Akatsuki Geek Live2020-2021 Vol.2」を開催しました!前回同様、オンライン実施となりましたが、50名以上の方にご参加をいただきました!参加いただいたみなさま、ありがとうございました!楽しんでいただけていたら本当に嬉しいです。今回は、イベント当日の様子をレポートしたいと思います!

※わたしはアカツキの新卒採用担当、めちゃくちゃ文系です・・・。そんなわたしでもたのしく聞かせていただきましたが、エンジニアのみなさんの目線とは違うかもしれません。お手柔らかに。

「Akatsuki Geek Live」とは?

エンジニアを志す学生さんと、アカツキエンジニアが登壇するLT会です。フリーテーマで7分間のLTを実施、その後懇親会を実施し、交流の場を設けています。楽しみながらアカツキのことを知れる場、そして学生さん同士の横のつながりも作れる場として実施しております。

 

▼イベント概要はこちらから

aktsk.connpass.com

 

 #当日の様子

前回同様、オンラインでの開催となりました。2回目ということもあり、少しずつ運営メンバーも慣れてきました!

前回は、アカツキオフィスの「ShineLounge(シャインラウンジ)」から配信したのですが、今回は「Historie(ヒストリエ)」というオフィス内の図書スペースより、採用担当のながぬまと、アカツキエンジニアのしまむらが司会でお届けしました。

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(こんな感じの場所です。詳しくはこちらに)

はじめに採用担当のもりしまからスタートし、アカツキのエンジニア3名、来春入社予定の内定者2名の計6名が登壇。
登壇者から資料掲載の承諾をいただきましたので、下記にスライドをご紹介します!

 

@もりしまさん(アカツキ/採用担当)

なるほどよくわかる!アカツキ理解のヒント 

トップバッターはエンジニアの採用を担当しているもりしまさん。
アカツキの会社説明に加えて、学生のみなさんがなかなか聞きづらいポイントを解説しました!

 【登壇資料】

 

▼@菱谷さん(アカツキ/クライアントエンジニア)

鏡のような「映り込み」を表現するシェーダー

エンジニアのトップバッターはアカツキでクライアントエンジニアをしている菱谷さんです。3DCGが大好きで。と淡々と話す姿がギャップがあって印象的でした。映り込みを画面上に表現する技術について発表していただきましたが、発表後の質疑応答では、映画と比較してゲームならではの観点でお答えいただき、学生さんは非常に勉強になったのではないでしょうか?

【登壇資料】

 

▼@坂元さん(アカツキ/クライアントエンジニア)

必殺技ロジックの実装を半自動化する機構を作った話
司会のしまむらからの「エンジニアの一段上の仕事をしている」というコメントが印象的でした。エンジニアが本来集中すべきことに集中できるように、できる部分は自動化し再現性を持たせ、人にしかできない創作をしていくことで、コンテンツのクオリティが上がっていくという最高の仕事を共有いただいた気がします・・・!

【登壇資料】

 

▼@柴原涼さん(アカツキ/サーバーサイドエンジニア)

2048作ってみた

大好きなゲーム2048が出てきてめちゃくちゃ興奮しました。(私情ですみません)
関数に分割できず、辛かった・・・やり切りました。という話が出た際に、チャット欄では、「頭がおかしい」という褒め言葉(ですよね?)が飛び出していました!(笑)
【登壇資料】

 

▼@こけもすさん(学生/アカツキ21年卒内定者)

IPFSとウェブゲーム

IPFSという新しい技術について発表いただきました。発展途上の技術は課題もあるけど、未来があるな~とワクワクする内容でした。ドイツと日本をつないで旧技術との比較を行っている部分では速度がかなり違って衝撃!
そして、発表後の質疑応答がすごく活発で、エンジニア(と目指す学生さん)の新しい技術への関心の強さに圧倒されました・・・!

【登壇資料】

 

▼@軍曹さん(学生/アカツキ21年卒内定者)

UnityVR開発! ~カジュアル"体験"制作記~」

こけもすさんと同じく、いよいよ来月4月に新卒としてご入社いただく予定の軍曹さんにVRについて発表していただきました。
わたしも「VR=仮想現実」だと思っていたので、潜りです・・・。(潜れてもないか)
非エンジニアのわたしにも前半部分は非常にわかりやすいく、後半部分は、難しい、初期投資がかかりそう、部屋が広くないとできない・・・となかなか手が出にくいと思われがちなVR開発に、チャレンジしてみようかな?と思わせるような、そんな内容でした。

【登壇資料】

 

#LTを経て懇親会!

チャットで盛り上げてくださる皆さんのおかげもあり、発表者も楽しくLT登壇を終えられました。少し休憩を挟んでから懇親会パートに入ります。
司会の2人がパーソナリティーのラジオのように進んでいきました。
技術の話や、アカツキ社内のことについてなどたくさんのご質問をいただき、アカツキのキッズ向けVtuberクマーバちゃんのぬいぐるみも登場して、和気あいあいとした雰囲気で残りのお時間を過ごすことができました。
やはり、みなさんと直接お会いして懇親会ができないのは本当に寂しく残念なのですが、オンラインだからこそ、たくさんの地域の方にご参加いただけて、オンラインだからこその出会いもあったと感じています!

改めて、ご参加いただいた学生の皆さま、登壇していただいたエンジニアの皆さま、本当にありがとうございました!

 

当日のスクショを最後に。
みんなビデオオフ・・・!笑 

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クマーバちゃんも登場してました!

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今回のLT会が、エンジニアの皆さんの気付きや新たな挑戦のきっかけになっていれば嬉しいです。

Rubyへの累計コミット数18,000以上。アカツキ所属のパッチモンスター中田さんに機能の開発秘話を聞いた

直感的な文法や生産性の高さから、世界中の人々に愛されるオブジェクト指向スクリプト言語Ruby。この言語には継続的に新しい機能や文法が追加されており、利便性が向上し続けています。コミッターの方々による日々の努力が、Rubyの改善を支えているのです。

コミッターのなかでも、とりわけRubyに大きな貢献をしてきたのがアカツキでフルタイムRubyコミッターを務める中田伸悦さん。(アカツキのCSRの取組みについてを記事下部参照)
github.com

中田さんはRubyへのコミット数が全コミッターのなかで最多であり、通称“パッチモンスターと”呼ばれています。

今回のインタビューでは、中田さんがRubyへのコントリビューションを始めたきっかけや、印象に残る機能改修について解説してもらいました。「Rubyのことをもっと詳しく知りたい」「オープンソースソフトウェア(以下、OSS)へのコントリビューションを続ける秘訣を知りたい」と思う方には必見の内容です!

※ 本インタビューはアカツキ所属ではない中薗昴様にインタビューいただきました。
※ インタビューはリモートにて実施しています。

気負わないからこそ、長く活動を続けられた

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フルリモートでクライアントエンジニアインターンに参加しました

こんにちは。さんたろと申します。
この度、12/1〜12/24までの間、就業型インターンに参加させていただきました。

大学の講義があったため、フルタイムでの勤務10日分ほどの勤務時間でしたが、とても充実した内容でした。 この記事を通して少しでも学んだこと・感じたことをお伝えできたら幸いです。

インターンの概要

私が配属されたのは『八月のシンデレラナイン』(以下ハチナイ)というゲームのチームでした。
私はハチナイをプレイしたことがそれまでなかったのでインターンが始まる前に遊び、20個ほど改善案を出させていただきました。 最終的には提案した中から1つ、提案以外から1つの課題に取り組みました。

課題への取り組み

課題に対する取り組みはインターン最終日におこなわれた成果発表会の資料にまとめています。
1つ目の課題である「共通ヘッダーの修正」は検証待ちの状態まで進めましたが、2つ目の課題である「ScrollView用のハチナイ独自のクラスへの機能追加」はまだ改善が必要という状態で終了しました。
ただ実装するだけでなく、パフォーマンスの計測や.unityファイルでのデータの持ち方の調査などさせていただきました。
以下発表会で使用したスライド資料です。

インターンを終えて

成果発表のスライドにも書かれていますが、インターンを通して学んだことはとても大きかったです。

視野を広く、先を見据えて

そもそも大規模なチーム開発が初めてで、自分の視野の狭さ故の考慮漏れが多かったです。 コード単位の影響ばかり気にして、Prefab・Scene単位の影響にまで目を向けることがあまりできませんでした。 全体が見えないまま実装をしても、それが今後の開発も考慮した最適であるかわかりません。 まずは影響範囲と周辺の実装をしっかりと把握して、構造を理解した上でどのように実装するべきか考える必要がありました。

問題のノイズを除去する

調査をおこなうとき、今回の調査とは関係のない部分による影響に惑わされることがありました。 大きなプロダクト、把握している範囲が小さい機能に関する調査では特に問題の本質を見失いがちです。 実際に使われているものではなく、自分で小さいサンプルを利用することで問題だけに集中できるほか、何か共通点など新しい発見があるかもしれません。 今回のインターンでは、.unityファイルへの書き込まれ方の調査、ScrollViewのハチナイ独自クラスの挙動確認と開発した機能のデバッグで非常に役に立ちました。

同期コミュニケーション

リアルタイムの会話では情報の取捨選択ができず、長引くほど参加者全員の時間を奪ってしまいます。 インターンではメンターの方と進捗状況の確認や相談のための面談をする機会が多くありました。 最初は「何をしたのか」「その結果どうなったのか」をすぐに答えられないことがありました。 こまめに作業ログをとるようにし、情報伝達が迅速かつ正確になっただけでなく、過去の作業内容を思い出すこともできるようになりました。

プランナーやデザイナーの方とのMTGでは、予め資料や参考画像をまとめ、議題に集中できる準備をしました。 結果としてMTGの参加者全員が、現在の状況と議論すべきことが明確な状態でスムーズに進めることができました。

非同期コミュニケーション

今回のインターンがフルリモートだったこともあり、非同期コミュニケーションはとても大事なものでした。 非同期コミュニケーションの欠点として、「誤解されやすい」「ニュアンスが伝わりにくい」という部分があり、今回のインターンでもそういった問題が発生しました。 違う捉え方ができないか、一番言いたいことが明確になっているか、使用する単語ひとつひとつにも気を配る姿勢が大切だと感じました。 また、「〜ということですか」と自分の解釈を伝えることは認識のズレを減らす手段で、今後も意識して利用していきたいです。

リモートワークだと自分が今何をしているのかメンターの方やチームメンバーに伝わりにくいです。 今回のインターンでは「自分で調べて問題を解決する」ということを重視されていましたが、それでも助言を受けるか判断するのではなく、助言をするか判断してもらうべきでした。 インターン後半では「自分は今〜しています」と意識して報告することで自身の状況を伝えるように心がけました。

最後に

業務としてのゲーム開発をすることが初めてでしたので楽しめるか不安でした。 いざ始まれば、覚えることが多く大変でもありましたが、「楽しい」という感情が一番強かったです。

最後まで楽しく働けたのは、暖かく迎えてくださったチームメンバー・人事・総務の方々、常に的確な指摘をしてくださる一方で私なりの結論が出るまで見守ってくださったメンターの方、そのほか支えてくださった社員のみなさんのおかげです。 この場をお借りして改めてお礼申し上げます。

以上、私のインターン参加報告でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

アカツキサーバーサイドインターンに参加しました

こんにちは。Nと申します。

この度、1/18 ~ 2/5までの15日間、就業型インターンに参加しました。

 

インターンの概要

私は、『八月のシンデレラナイン』(以下ハチナイ)のサーバーサイドエンジニアのチームに配属され、次のタスクに取り組みました。

 

管理画面でアイテムidを手作業で確認、入力していた部分をプルダウンにすることで対応

開発環境でアイテムを付与することがあります。これまでは、アイテムのidを資料から探してきてそれを手入力する必要がありました。

そこで、私は「手作業でアイテムのidを確認して入力する」こと自体が大変な作業だと考えたため、プルダウンに全てのアイテムを表示するように実装しました。しかしながらアイテムの数は膨大です。この実装はかえって逆効果でした。

そこで、次に個数が多いグループのアイテムをリストから削除する実装にしましたが、今度はそもそも選択できないアイテムが発生するのは良くないということになりました。

最終的な結論として落ち着いたのは、アイテムの所属するグループのプルダウンの値が変更されたタイミングをフックとして関連するアイテムだけを表示するという実装でした。ほぼ理想的な形が実現できたと共通認識が取れたので良かったです。

 

マスターデータのチェッカーの作成

ハチナイにはマスターデータが存在します。マスターデータを簡単に説明すると、ゲームが動いている間は固定値として扱うデータのことです。このデータ群は「正しいデータ」としてプログラムが設計されているので、正しいことが保証されていなければなりませんでした。そこで、今後改修されることで変更されうる値が正しいことを保証するプログラムを追加しました。

 

インターンを通して

フルリモートでの作業の難しさ

今回のインターンではフルリモートによるものでした。ZoomとSlack、GitHubのPRでのやりとりが多かったのですが、

  • 複数人が同時に話すと声が重なってしまい対面でのコミュニケーションよりコストが高い
  • 返信がすぐもらえるとは限らない

 これらが特に難しそうだなと感じました。しかしながら、今回のインターン中では、比較的返信を早くいただけたのでスムーズに作業できました。

 

うまく伝えるにはどうするか

レビュワーの方からインターンを通して「何を伝えたいか」がよく伝わってありがたいという評価をいただきました。うまく伝えるに際して、

  • 「何を伝えたい」かだけでは伝わらない
  • 「自分が持っている情報」と「相手が持っている情報」の差異を意識する

を心がけていました。

その上で、「書き方」も意識するとより伝わりやすいことに気がつきました。具体的には、リスト化して視覚的に見やすくしたり、Markdownの「---」を使って区切りを使ったりすることが有効でした。

また、クライアントサイドエンジニアとサーバーサイドエンジニアでAPIのインターフェースについて議論する際実際にJSONの形式で提示している方がいて伝わりやすいと思いました。

 

意図を持ってコードを書く

きちんと理解した上で話すことを心がけていました。実装の仕様のすり合わせにおいても、「理解しきれなかったのでもう一度この部分の説明をお願いします」などとお願いして「自分が書くコードはこうなるはず」という自分の中での理解をするようにしました。

その結果、「実装方針をこのようにしてはどうか?」という提案をすることができました。それだけでなく、レビューの際、「ここは認識違う」との指摘をいただいても「自分はこう考えてた」と伝えることでどこで食い違いが起こっているのかを特定するのが簡単になりました。成果報告会で、レビュワーの方からも「言語やフレームワークによらないプログラム設計がしっかりしていてロジックレベルでは指摘するところがほとんどない」と褒めていただくことができました。

 

最後に

15日間最初から最後まで楽しく働くことができました。これはメンターの方をはじめとするたくさんの方のサポートに依るところが大きいです。

ゲーム開発は初めてだったので、「Webアプリケーションの開発とはこういうところが違う」など差異を感じることができて有意義なインターンになりました。特にマスターデータの運用を感じることができて良かったです。

 

アカツキのクライアントエンジニアインターンに参加した話

こんにちは.9月1日〜9月18日までアカツキのクライアントエンジニアインターンに参加しました,高橋と申します.今回は大人気スマホゲーム「八月のシンデレラナイン(以下ハチナイ )」のプロジェクトでUnityを用いたUI関連の機能の追加や改修の業務に関わらせていただきました.本記事ではその際に取り組んだことや感じたことなどを書いていきたいと思います.

はじめに

私は現在修士1年生で,普段はヒューマンインタフェースの研究室で電気刺激(神経に電気を流して感覚を作る技術)の研究をしています.もともと趣味でUnityを使ったゲーム開発などをしていましたが,就活を始めるにあたって仕事としてのゲーム開発を体験してみたいと考え,今回のインターンに参加させていただきました. 

やったこと

冒頭でも述べましたが,私は今回ハチナイのプロジェクトでUI関連のいくつかの業務に関わらせていただきました.具体的な内容としては主に次の3点になります.

  • 選手育成画面で溢れた経験値を表示する機能の開発
  • スカウト画面のピックアップ選手の表示数削減
  • ダイアログ外タップ機能の実装についての検討

以下ではそれぞれの項目について詳しく説明していきたいと思います.

選手育成画面で溢れた経験値を表示する機能の開発

概要

インターンが始まって私が最初に取り組むことになったのは選手育成画面で溢れた経験値を表示する機能の開発でした.ハチナイでは選手のレベルを上げる際に強化相手を選択して経験値を与えるということをするのですが,選手のレベルには当然上限があるため,必要以上の経験値を与えると経験値が溢れてしまいます.ところが現状ではこの溢れた経験値を画面に表示する仕組みが存在せず,ユーザさんは気づくことができません.そのため,何らかの方法でこれをユーザさんに知らせようというのが今回の目的でした.

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改修前の選手育成画面

仕様の決定

この機能についてはまだ仕様など何も決まっていなかったため,まずデザイナさん,プランナさんと詳しい仕様について話し合うところから始めました.この頃はまだ開発の進め方などよく分かっていない事が多かったのですが,デザイナさんの方からミーティングを設定してくれたり,ゲームの仕様について説明してくれたりなどとサポートをしていただいたおかげでスムーズに議論を進める事ができたと思います.話し合いの結果,溢れた経験値を数字で表示すると同時にその程度をゲージで表す機能を実装することに決まりました.

機能の実装

仕様が決定したため,次はそれに従って実装をしていきます.実装を行うには,まず選手育成のための経験値の表示がどのオブジェクトで行われており,その値はどのクラスのどの位置で計算されているのかを把握した上で,必要な処理を追加する必要があります.複雑な計算をするわけではないし比較的簡単に終わるだろうと楽観的な気持ちでプロジェクトを開いたところ,とにかくファイルが多い,オブジェクトの階層が深い,そしてクラスがでかい.普段個人で作っているようなゲームとはスケールが全く違い,まず該当する処理を探し当てる段階で苦戦してしまいました.やっとの思いで位置を特定しても他人が書いて動作しているプログラムに手を加えるのは緊張感を伴うもので,なかなか思い切った改変を加える事ができませんでした.そうは言いつつも,溢れた経験値を計算する処理自体は最初に言った通り比較的シンプルなものであったため,大きな問題にぶつかることもなく実装を終え,レビューをいただく事ができました.終わってみれば,プロジェクトの概要を把握しつつ,仕様の決定→実装→レビューという開発の1サイクルを回す事ができたという点で入門編として最適な課題だったと思います.

スカウト画面のピックアップ選手の表示数削減

概要

1つ目の課題が終わり,次に取り組むことになったのはスカウト画面のピックアップ選手のサムネイル表示数削減でした.ハチナイにはスカウトという仕組みが存在し,スカウト画面でナインスターなどのアイテムを消費することで新しい選手を手に入れる事ができます.スカウトには複数の種類がありますが,それぞれのスカウトにおいて手に入る可能性のある選手の一部をピックアップ選手として一覧で表示する機能があります.このピックアップ選手は1画面中に5~7枚程度がサムネイルとして表示され,スワイプによって他の選手を見る事ができる仕組みになっています.つまりスワイプが起こるまでは今現在画面に表示されているピックアップ以外はオブジェクトとして生成しなくても良い訳ですが,現状では表示をする予定の全ピックアップ選手のサムネイルがオブジェクトとして生成され,画面外で待機しているという状態でした.見えないオブジェクトをわざわざ生成して画面外で待機させておくのは無駄でしかないため,どうにかしたいというのがこの課題の趣旨ということになります.

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スカウト画面のピックアップ表示

方針の決定

同じような問題の解決方法としてよくあるのは,最初に一度に画面内に見える分だけ画像を表示するオブジェクトを生成しておき,スワイプに従って画像の差し替えと位置の再調整を行うというものです.今回は画像だけでなく画像がタップされた時の処理も差し替える必要がありますが,大まかにこの方針で実装を進めることにしました.

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方針の概略図

実装

方針が決まり,それに沿って実装を始めましたが,そこで早速問題にぶつかってしまいました.現状のコードではUnity側が用意しているGridLayoutGroupというオブジェクトの整列を自動で行なってくれるクラスによってピックアップ画像を並べていたのですが,この自動整列機能のおかげで今回の実装の肝である画像位置の再調整をする事ができません.なんとかしようとあの手この手を使って工夫を重ねた結果目的の動作を実現する事ができたものの,非常に複雑で可読性に欠けるプログラムが出来上がってしまいました.これは良くないと思いメンターさんに相談したところ,画像の一覧表示を最小限のオブジェクト数で実現する機能を提供するまさに今回の目的にうってつけのクラスが存在することを教えていただきました.このクラスを仮にクラスAとしておきます.クラスAには一覧表示のスタート地点や画像間の空白を設定する仕組みが無かったため,それらを実装した上でピックアップ画像の表示方法をGridLayoutGroupからクラスAに置き換えることで無事ピックアップ選手の表示数削減に成功する事ができました.GridLayoutGroupを使った実装方法を考えるのに多くの時間を費やしてしまったこともあり,目的を達成するのに適切なアプローチを取れているかを立ち止まって考えてみることの大切さに気づかされた課題だったと思います.

ダイアログ外タップ機能の実装についての検討

概要

私がインターン中最後に取り組んだ課題はダイアログ外タップ機能の実装についての検討でした.ダイアログとはアイテムの受け取りや選手の育成など何らかの確認や意思決定が必要となる場面で選択肢とともに表示されるウィンドウのことです.

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ダイアログの例

ハチナイでは,一部の例外を除いてダイアログ内のいずれかのボタンをタップすることによってのみ次の画面に移る事ができるようになっていますが,実質選択肢が1つしかない場合や間違えてダイアログを開いてしまった場合などに簡単にダイアログを閉じる事ができると便利です.その方法としてダイアログ外の領域をタップすることでキャンセル等の処理が行われるようにしよう,というのが本課題の概要です.「実装についての検討」と言ったことからも分かるようにインターン期間中に実装まで漕ぎ着けることはできなかったのですが,以下では実際に私が調査・検討した内容について簡単にまとめようと思います.

仕様の決定

このダイアログ外タップ機能ですが,存在する全てのダイアログに適用すれば良いというわけではありません.というのも,ダイアログによっては意図しない画面外タップによってダイアログが閉じられてしまう事が望ましくない場合もあるからです.そのため,実装の前にプランナさんと相談してどういったタイプのダイアログに対してこの機能を適用するかを決めました.

方針の決定

方針を決めるにあたって,まずダイアログの表示やボタンのコールバックイベントの設定がどのように行われているのかを調べました.その結果,ダイアログの種類毎にクラスが用意されており,その内部でそれぞれのボタンのコールバックが設定されているようでした.また,これらのクラスはそれぞれの背景となるオブジェクトへの参照も持っていたため,この背景に対して他のボタンと同じようにタップ時のコールバックを設定してあげればダイアログ外タップ機能を実現できそうだという事が分かりました.通常であればこの処理をそれぞれのダイアログのクラスに加えて作業終了なのですが,今回の場合ダイアログの種類が全部で200種類近くあったため,手作業で全てのクラスを変更するのは現実的ではありません.幸いなことにこれらのクラスは全て共通のクラスを継承していたため,この基底クラスを編集することでなるべく少ない労力でダイアログ外タップ機能を実現する方法について検討することにしました.色々と考えた結果,基底クラスにボタンの参照を1つ追加し,ダイアログ外がタップされた時にこのボタンに登録されているコールバックを呼び出す方法をとることにしました.このようにすれば,派生クラスに対する変更は要らなくなります.インスペクタからそれぞれのクラスに対してボタンの参照を登録する作業は必要になりますが,これについてはコードの編集とは違ってある程度自動化できると考えました.

問題点

ボタンに登録されているコールバックを呼び出す,という説明をしましたが,どうやってそれを行うかが大きな問題でした.ハチナイでは独自の方法でボタンのコールバックの設定をしているため,例えばButton.onClick.Invoke()などのようにしてコールバックを取り出す事ができません.この問題の解決方法として1つ目に考えたのはExecuteEventsクラスを使ってボタンをプログラムからタップし間接的にコールバックを呼び出す方法です.最初は名案だと思ったのですが,これをやるとボタンタップ時のアニメーション等まで再生されてしまうのと,力技な感じが否めなかったため見送りました.2つ目は独自に実装されているボタンのコールバックを設定する関数の内部にコールバックを取り出す処理を加えてしまう方法です.このようにすればコールバックのみをきれいに取り出す事ができますが,代わりにプロジェクトの至る所で使われている関数をダイアログ周りでしか使わない処理で汚してしまうことになります.どうしようかと悩んでいる内にインターン最終日を迎えてしまい,ダイアログ外タップ機能を実装する事はできませんでした.結論としては,素直に全ダイアログクラスを編集するのが良いということになりました(もっと良い方法があったかもしれないけど私には思いつけなかったです).実装までたどり着かなかったのは残念ですが,変更点の多さが実装うの障害になるという大規模なプロジェクトならではの問題に取り組む事ができ,良い経験になったと感じました.

振り返り

インターン中に取り組んだ課題については大体紹介したと思うので,以下では今回のインターンで感じた「会社の印象」,「良かったこと」,「反省点」について述べていきたいと思います.

会社の印象

雰囲気が良い

一番印象に残ったのは何よりもこれでした.会社と聞くと僕は厳しいとか忙しいという言葉を一番最初に思い浮かべてしまいます.もちろんアカツキの皆さんも真剣に仕事に取り組んでいるのですが,ミーティングの雰囲気や何気ない雑談からも社員の皆さんがリラックスして仕事をしている様子が伝わってきました.私の場合は今回が人生初のインターンで,さらにオンライン開催だったこともありうまくやっていけるか心配しながら初日を迎えたのですが,いざ仕事を初めてみるとそんな心配もすぐに無くなりました.

 やりたいことをやらせてもらえる

若干語弊があるかもしれませんが,やりたいことをやらせてくれる会社だと感じました.例えば今回最初に取り組んだ溢れた経験値の表示機能は元々私がハチナイをプレイした感想をもとにメンターさんに提案したものでした.正直提案をしても取り入れられることはないかと思っていたので,提案をした翌日に「やってみましょう」と言われた時には私の方が驚いていました.インターンの課題として丁度良い内容だったということもあるかと思いますが,熱意を持って提案をすればきちんと評価してくれる会社だと思います.

良かったこと

仕事としてのゲーム開発を体験できた

インターンの動機でもあった仕事としてのゲーム開発をしっかり体験できた点はとても良かったです.新しい機能の仕様についてデザイナさんやプランナさんと相談したり,初めてみる巨大なクラスを解読したり,書いたコードをレビューしてもらったりといった個人開発ではすることのない経験をたくさんする事ができました.

以前よりGitを使えるようになった

恥ずかしい話ですが,私は今までGitをほとんど使った事がありませんでした.チーム開発においては必須のスキルであるため,今回のインターンに参加する事が決まってからの1ヶ月間で急いで勉強しました.それでも分からないことは多くメンターさんに初歩的な質問ばかりしてしまいましたが,3週間の業務を通して以前よりも理解が深まったと思います.

反省点

工夫したコーディングができなかった

うまく一言で言い表せなかったためこのような見出しになりましたが,共通する処理は一箇所にまとめるなどといったプログラミングの原則を意識したコーディングができなかったと感じました.もちろん知識としては持っていましたが,機能をどのようにして実装するかに意識が集中してしまったので今後は機能だけでなく可読性・拡張性なども意識したコーディングを心がけていきたいと思います.

まとめ

反省点などもありましたが,アカツキという会社についてよく知る事ができ,ゲーム開発の楽しさを肌で感じることができた3週間だったと思います.ありがとうございました!